イケてる SaaS を作りたい (koni blog)

SNS管理ツール「SocialDog」を運営する株式会社AutoScale代表 小西将史のブログです。イケてるSaaSを目指して日々奮闘しています。

【1万文字!】SNSアカウント管理SaaSスタートアップ「SocialDog」6期目振り返り・7期目の展望

こんにちは、SNSアカウント管理SaaSのスタートアップ 株式会社SocialDog代表の小西(@koni)です。

6期目が終わったので、SocialDogは、6期目(2021/4〜2022/3)の振り返りと、7期目(2022/4〜2023/3)の展望について書きます!

SocialDog 事業

SNSアカウント管理SaaS「SocialDog」事業についてです。

ちなみにSocialDogではTwitter分析サイト「whotwi」も運営していますが、現在はすべてのリソースをSocialDogに割いています。ちなみに現在はサーバー代が払える程度の広告収益が少しあるのみです。

80万アカウント突破&アカウント数No.1獲得

SocialDog」は引き続き順調にアカウント数を伸ばしており、2021年12月には80万アカウントを突破し、それに伴ってMRRも順調に伸びています。

MRR・登録アカウント数の推移(会社紹介資料より

マーケティングチャネル

SocialDogでは、まだ法人営業を一切行っておらず、ウェブマーケティングによる集客のみでここまできました。 そういう意味で、ピュアなProduct-Led Growth戦略を実行していると思います。

マーケティングチャネルとしては、SNSやウェブ上の記事での口コミ、リスティング広告・ディスプレイ広告・アフィリエイト広告、オウンドメディアの記事があり、昨年はYouTubeでの動画広告も開始しました。

www.youtube.com

100万アカウント突破に向けて

2022年10月頃には100万アカウントを突破する見込みです🎉

ずっと「たくさんの方に使われるサービスを作りたい」と思っていたので、やはり100万アカウントはかなり嬉しいです(まだ達成していないのに気が早いんですがw)!

Twitter 公式アカウントのフォロワー数も増えてきたので、おそらくTwitterでキャンペーンをやったりすると思います。

企業ユーザー向け機能・サービス強化

もともとSocialDogはフォロー管理機能が充実していたこともあり、個人ユーザーが多かったのですが、2020年に企業向けのBusinessプランをリリースして以降、企業ユーザーも増えてきました。

6期目は引き続き企業ユーザー向けに分析や投稿機能を充実させ、数百万フォロワーがいるようなアカウント、上場企業、中央省庁、地方自治体などの公共性の高いみなさまにもご活用いただけるようになってきました。

7期目は、まだできていない以下に取り組みます:

  • チーム管理機能の導入(複数ユーザー、権限管理、一括請求)
  • 分析機能の強化
  • ソーシャルリスニング機能(口コミの分析)の強化
  • SNSキャンペーンをサポートする機能のリリース
  • カスタマーサクセス立ち上げ
  • さらに上位プランを用意し、導入支援や手厚くサポートする体制を整える

現状、月額1,000円、5,000円、10,000円の3つのプランがあります。個人ユーザーは1,000円のプランの方が多かったのですが、今後は10,000円のプランのユーザーにも満足いただけるよう機能開発をしていきます。

企業ユーザー向けの提供価値を増やし、プランの価格を上げていく予定です。具体的には年150%くらいのペースで提供する価値を増やし価格も上げていきたいと考えています。

対応SNSの追加

現状はTwitterにしか対応していないのですが、InstagramやFacebookなど他のSNSにも対応していきます。

7期目は以下に取り組みます:

  • Instagram への対応
  • Facebook への対応
  • 複数のSNSを同時に管理する機能の強化

海外展開

SocialDogは、幅広い業種の方にご利用いただけるタイプのSaaS「ホリゾンタルSaaS」です。

SocialDogなどのSNSマーケティングツールは、ホリゾンタルSaaSの中でも、地域性のないSaaSで、海外展開しやすい領域のツールです。「地域性がない」というのは、国や地域によって求められる機能があまり変わらないという意味です。例えば、労務管理や会計のSaaSは法律や商慣習が国や地域によって異なるため、海外展開するにはローカライズが必要となります。一方で、SNSの運用・分析に求められる機能は国や地域によって変わる要素があまりないので、海外展開しやすいということです。

このため、SocialDogではリリース翌年から米ドル決済や英語でのUI表示、タイムゾーンへの対応など、海外展開を意識した機能開発を行ってきました。

しかし海外の競合サービス(HootSuite、Buffer、AgoraPulse)などと比べると、対応しているSNSや言語が少なかったり、足りない機能も多数あり、まだ比較対象としてはかなり弱い状況です。

これに対応するため、7期目は以下に取り組みます:

  • 機能面で海外の競合サービスに並ぶことを目指す(SNS対応を増やす、対応言語を増やす)
  • 各種マーケティング施策により認知度・新規登録数の向上

海外向けのマーケティングは2022年冬より少しずつ実施していて、結果が出始めており、現在は新規に有料プランに加入したユーザーの約1割が海外のユーザーになっています。

UI/UXの改善

Product-led Growth戦略をとっていく上で、プロダクトのUI/UXの向上は非常に重要なので、体制を強化してやっていきます。

これまでSocialDogのデザイナーは副業の方にお願いしていたのですが、これまでエンジニアだったけれどもイケてるデザインのできるsojiに、SocialDog専任のデザイナーになってもらうことにしました。

また改善活動を推進するため、誰でもいつでもプロダクトの改善アイディアを投稿できる「だれでもいつでもバックログ」という制度を引き続き実施し、今後もUI/UXを追求していきます。

カスタマーサクセスの強化

SocialDogではこれまではセルフサーブ(営業担当・サポート担当がつかずに、ユーザーが自らオンボーディングしていく導入方法)でご利用いただいてきました。

ただ特に大企業や官公庁といったお客様の場合、セルフサーブに慣れていないこともよくあり、それが原因でSocialDogが使われない、ということもありそうでした。

こういったお客様の場合、「SocialDogの導入をサポートしてくれ」という連絡を頂くことが多いのですが、月1,000円〜10,000円という単価だと、打ち合わせの費用対効果をあわせるのが難しく、「申し訳ないのですが、メール以外でのサポートは一切やっていないのでウェブサイトや資料を見てください。」という対応になってしまっていました。

これに対応するため、7期目は以下に取り組みます:

  • 今後は提供価値を増やしつつ少しずつ単価を上げる。
  • こういった問い合わせにもお応えできるように体制を整備する。

「ユーザーの成功を通じてLTVを上げていく」ことを加速するため、テックタッチ〜ハイタッチでカスタマーのオンボーディングや継続利用のサポートをするカスタマーサクセスチームを立ち上げます。

「世界で使われるSNSマーケティングツール」を目指して

国内でも世界でもSNSの利用者数は増え続けており、世界全体での各SNSの利用者数は、Facebookが27億人、Instagramが12億人、Twitterが3.5億人となっています。

日本国内でも全世代でSNSの利用者数が伸び続けており、総務省の調査によれば、特に20代・30代の7〜8割はTwitterやInstagramを日常的に利用しています。 一方で30〜40代ではTwitter・Instagramでそれぞれ3-4割となっていますが、毎年増えており、まだまだ伸びしろがあります*1

SNSマーケティングの市場規模は、海外でも国内でも増加し続けており、2025年には2020年と比べて世界で3.2倍、国内でも約2倍に成長すると見込まれています*2

このような中で、今後もSNSマーケティングの課題を解決するソリューションが求められていくはずです。

SocialDogはこれらの需要にうまく対応し、市場拡大とともにシェアを拡大していきたいと考えています。

SocialDogのユーザーは日本がほとんどで、対応SNSもTwitterだけなので、現状は 「日本で使われているTwitterマーケティングツール」ですが、「SNS対応を増やす」「海外展開」により、今後は、「世界で使われるSNSマーケティングツール」を目指します。

国内では、「SNSマーケティングツールといえばSocialDog」と言われるような、純粋想起(ヒントなしでブランド名が思い浮かぶ)を獲得した状態を目指します!

海外では、強い競合が多いので、まずは機能の面で競合ツールと比較できる状況にし、着実にユーザーを増やしていきます。

社内体制

CGO 就任

これまでSocialDogは役員が小西のみだったのですが、今後さらに事業・組織をスケールさせていくため、経営陣を増やす必要を感じていました。

そこで2022年2月、高西 智哉さん(@t0m0120)に、Chief Growth Office(CGO)に就任してもらいました。

高西さんは2018年に入社したエンジニアで、事業や組織についてのバランス感覚に優れていて、オーナーシップを持って実行でき、なによりも「SocialDogを成長させたい」と強く思えているため、経営陣に入ってもらうことにしました。

人数も少ない中でやるべきこともたくさんあり、組織や事業の成長のためにできることをやってもらう、という意味で、Chief Growth Office(CGO)という肩書になってもらうことにしました。

まだ経営陣は2人なので、もう少し増やしたいと思っています。ご連絡お待ちしております!w

エンジニア組織をスケールさせる取り組み

人数が増えても生産性が落ちない(スケーラブル)で、各メンバーがスキルアップし、顧客に高速に多くの価値を提供している、「イケてる開発チーム」を目指したいと思っています。

そういう「イケてる開発チーム」に近づけるため、いくつかの施策を実施しました。

なお、下記の件には小西も関与していたのでこの記事には記載しましたが、実はもう開発チームの意思決定はチームに任せてるようになったので、開発の具体的な体制についてブログに私が書くのは最後かもしれません。

スクラムの導入

それまで開発はカンバンで管理していたのですが、以下のような課題を解決するため、2021年10月頃から、スクラムを導入しました。

  • 開発のスケジュールを立てないため、リリース時期が読めない
  • 属人化(「●●機能は、●●さんしか触れない」問題)
  • チームの課題を解決していく仕組みがない

まだまだ課題はありますが、この1年でチーム力はかなり上がったように思います。

Go へのリプレイスの決定

代表(私)の前職でPHPを使っていた流れで、SocialDogのバックエンドは創業以来ずっとPHPで書かれていました。

去年の夏頃、社内で「バックエンドの環境をGoにしてみては」という提案があり、開発チームで検討した結果、2022年10月にバックエンドの開発環境をPHPからGoに移行することになりました。

このリプレイスで、主に以下のようなことを達成したいと考えています:

  • 技術的負債の解消
    • リプレイスによってコードが書き直される
  • エンジニアおスキルアップ
  • 採用力向上

技術顧問の就任

Goでの開発・設計を円滑にすすめていくため、上田 拓也さん(メルカリ所属 @tenntenn)に技術顧問として入ってもらいました。

技術選定の際に相談できる存在がいるのは非常に心強いです。

ISMS取得

social-dog.net

企業ユーザーの皆様にも安心してご利用いただけるよう、情報セキュリティマネジメントの国際規格 ISMS認証(ISO 27001)も2021年5月に取得しました。

ISMSの導入後、お客様からセキュリティチェックシートの記入依頼が激減したほか、社内のセキュリティ水準も向上したため、導入して本当に良かったと思っています。

ISMSの導入の詳細についてはISMSオートメーションツール「SecureNavi」を利用した際にインタビューしてもらったので詳細はこちらをご覧ください:

ISMSをSaaSを使って効率化!無駄な工数を減らし、意味のあるISMSを構築するために|SecureNavi|日本初のISMSオートメーションツール

採用

6期目の採用について

2016年7月に創業して早いものでもう6期目になり、メンバー数も28名まで増えました。

▼メンバー数の推移

タイミング メンバー数 うちフルタイム うちインターン
2017/4 3 2 1
2018/4 7 3 3
2019/4 10 2 4
2020/4 17 6 4
2021/4 23 11 2
2022/4 28 14 7

※合計が合わないのは業務委託・副業の方がいるため

人事

やりたいことはたくさんあるのですが、スピーディに価値提供するために、エンジニアが足りていません!そこで今年は採用にかなり積極的に取り組んでいます。

採用に積極的に取り組むにあたって、働きやすい組織やカルチャーにしていくこと、採用広報やスカウトなどを通してたくさんの方に会社について知ってもらう必要があります。

私やエンジニアが片手間で行っていくことには限界があるので、はじめて人事の方がジョインしました!

バックオフィス

創業したときはお金もないし必要な事務も少なかったので、事務的なタスクはすべて私が一人でやっていました。

6年以上一人で全部やっていたので、「事務できる俺カッコいい」(ドヤ顔)みたいな感じでした。

▼ 事務できる俺カッコいいアピール

しかし、人も増えて20人分の給与振り込みとかをするのもちょっとずつ大変になったり、毎月、給与の締日が近づくと、頭のどこかに「給与振り込みやらなきゃ」とか「振り込みしなきゃ」というのをなくしたいなと思ったりし始めました。

そこで、バックオフィスの方に入ってもらいました。

入ってもらってから気づきましたが、月次のタスクや突発的に発生するタスクがなくなって、全く意識しなくて良くなって、脳のリソースがすごく空いたように感じました。 本当に助かっています。

今にして思えば、あと2年くらい早く入ってもらえば良かったw

7期目の採用方針について

SocialDogは、Product-Led Growth を志向しており、いわゆる営業はおらず、エンジニアとマーケティングが多い組織です。

以下の3つをそれぞれしっかりやっていくことがプロダクトの成長に直結するはずです。

  • 「とにかくいいプロダクトを作る」(エンジニア)
  • 「プロダクトの良さをしっかり伝える」(マーケティング)
  • 「顧客の成功をしっかり支援する」(カスタマーサクセス)

しかし、エンジニアは作りたい機能の量に対して不足していて、カスタマーサクセスは専任者がいない状況です。

このため、今期は特にエンジニアの人数を倍増させる(フルタイム換算で8人→16人)ことと、カスタマーサクセス組織を立ち上げ、自走している状態にすることを目標にします。

社内イベント

納会(2021年12月)、社員総会(2022年5月)

2020年4月頃からコロナの影響で完全在宅勤務にしていましたが、会ったことがないメンバーが半分を超えたこともあり、2021年12月に都内にて対面での納会を実施しました!

Zoomではなくリアルに人が集まっているところを見て、メンバー数が増えたことを実感しました。

このあと飲みにいったりもしたのですが、いや〜やっぱり直接会うのいいですね〜!

www.wantedly.com

www.wantedly.com

採用用の写真をとりまくる

リモートワークになってから、Wantedlyなどの採用サイトに乗せる写真がZoomのキャプチャしかない問題があり、ずっとコロナ前の写真を使っていたのですが、さすがに3年前の写真を使うのはもう限界・・・だったので、納会では向こう1年は使える写真を取ることを目標に写真をたくさん撮りました。3人で手分けして撮って、1,000枚以上の写真を取ることができました!

このときとった写真は早速Wantedlyで使っています。

会社全般

会社名の変更

ブランド力の強化のため、2021年9月1日に「株式会社AutoScale」から「株式会社SocialDog」に社名変更しました!

最初は「なかなか慣れないかな」と思いましたが、案外何度も言っているうちに適応するもので、社名変更から1ヶ月くらいで慣れました。

社名を変更して半年以上たちますが、やはり社名を変えてよかったと思います。

採用面談で、「AutoScaleはSocialDog事業をやっている会社です」という説明をしなくてよくなったし、採用サイトでのスカウトの受信時にも「お、SocialDog、聞いたことある会社だ」となる確率が高まっているはずです。

社名変更の詳細は以下をご覧ください:

koni.hateblo.jp

働きやすい会社にするために

採用力を強化したい、ということもありますが、関わってくれたメンバー全員に「SocialDogに入ってよかった」と思ってもらえるような会社にし、技術を通じて世の中により多くの貢献をしたいと思っています。

このため、できるだけ時間や場所の制約から自由で、スキルアップできて、楽しく、安心して働ける、という会社にしたいです。

これまでに以下のような取り組みをしてきました:

理想の状態と比べるとまだまだできていないことが多いのですが、少しずつ理想の状態に近づけていきたいと思います。

具体的には以下のような施策を進めていく予定です。

  • ミッション・ビジョン・バリューの見直し
    • 今後の事業戦略を考えると若干あっていない部分がありそう、というか、もっとよくできそうなので見直す。
  • フレックスタイム制のコアタイム(10-16時)廃止
    • 6月から試験的に廃止する検証を実施しており、問題なければ廃止予定。
  • 出社できるようにする
    • フルリモート化から2年たち、「たまにはオフィスに行きたい」という需要が出てきているので、情報格差が生まれないように配慮しつつ、それに応えられるようにする
  • 副業のポリシーの明確化
    • 本業に影響がない・競合ではない・雇用ではない、という条件を満たせばいい、というルールを明示する。
  • スキルアップ支援の強化
    • 現状も書籍や動画などの購入費用は事前承認不要で使えるようになっていますが、これを拡大し、勉強会などの参加費用などもカバーできるようにするなども進める。
  • 評価制度・賃金制度の確立
    • 予測可能でわかりやすい制度を目指す。
    • 市場水準よりちょっと高いくらいの給与を支給し、入社・転職後もしっかり昇給するようにしたい。それを等級表のような形で、内部・外部からも見えるにする。

積極採用中です!お気軽にご連絡ください!

上記にも書いた通り、SocialDogには課題が山積しています。

それらの課題を解消し、「世界で使われるSNSマーケティングツール」になるべく、自分ももっと成長して、事業・組織を急成長させていけるよう全力を尽くすつもりです。

が、もっともっと成長していくためには、これらの課題を自分ごととして一緒に解決していける仲間が必要です・・・!

特に、エンジニア・カスタマーサクセスを積極的に募集中です。

少しでもご興味を持っていただけましたら、都合のよい方法で、お気軽にご連絡いただけますと幸いです!

Wantedly / YOUTRUST / Twitter DM / Facebook

採用情報

以下の資料をみていただくと会社についてより知っていたいただけると思います:

speakerdeck.com

採用情報についてはこちらをご覧ください:

recruit.socialdog.jp

まとめ

2016年の創業から6年弱が経ち、社内の体制も整い、事業の売上・ユーザー数も伸びてきました。

ここからもっともっと成長していくため、今期は「スケールする仕組みづくり」をし、お客様により多くの価値を提供し、技術の力でもっともっと世界に貢献していきたいと思います!

ということで、7期目もよろしくお願いします!

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▼5期目の振り返り

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▼4期目までの振り返り

koni.hateblo.jp

※記事中に記載した施策は、検討の結果実施しないものがあるかもしれません。