こんにちは、株式会社AutoScale 代表の小西です。
いまから4年半前の2016年6月にウェブサービスを開発・運営する会社「株式会社AutoScale」を設立し、自社サービスとしてTwitter アカウント管理 SaaS 「SocialDog」をリリースしました。
設立から1年くらいは赤字でもがいていたのですが、徐々に売上も増え、2年目には単月黒字を達成しました。そしてついに先週、ユーザー数が50万を超えました!
これまであまり会社についてブログを書いたりしていなかったのですが、少しずつ余裕も出てきたので、これまでを振り返ってみました。
SaaS の立ち上げから黒字化、採用、オフィス、ここまでにやったことを淡々と書きました。これから起業する人に向けて、リアルな会社運営の一つの事例として参考になれば幸いです。
書き始めたら、1万字を超える長文になってしまいました。目次をつけておくので、気になるところから読んでいただければと思います。
目次
- 目次
- 起業するまで (2008/4 - 2016/6)
- 1期目 (2016/7 - 2017/3)
- 2期目(2017/4 - 2018/3)
- 3期目(2018/4 - 2019/3)
- 4期目(2019/4 - 2020/3)
- 5期目(2020/4 - 2021/3)
- FAQ
- まとめ
- 採用活動しております!
- こちらの記事もどうぞ
起業するまで (2008/4 - 2016/6)
趣味のウェブサービス開発で小遣い稼ぎ
もともとウェブサービスを作るのが好きで、大学生のときから個人ウェブサービスをいくつか作ったりしていました。一番当たったのは大学4年(2011年)のときにリリースした whotwi で、最高で月間700万PV、広告収入で50万になる月もありました*1。
このときはサイトに広告を貼ってせっせとお小遣い稼ぎに励みました(笑)。 Google Analytics でPVが増えていく様子や、広告の管理画面で収益が増えていく様子を見てニヤニヤしていました。
強烈に「ウェブサービスを作るの楽しいぞ」と感じました。
エウレカ新卒入社 (2012/4)
友達の紹介でエウレカの大学生インターンエンジニアとして1年ほど働き、そのまま新卒第1号として入社しました。当時まだ社員も10人くらいで他にエンジニアがほとんどいなかったこともあり、開発リーダーとして開発や企画などかなり自由にやらせてもらいました。
2012年10月に、婚活マッチングアプリ Pairs がリリースされました。サービス内容も非常に面白く、朝から晩までずっと開発に没頭していました。
その後カップル向けアプリCouples *2の担当となり、自分のサービスが TVCM に出るということも経験できました。
退職までずっと創業者兼社長である赤坂さんの直下で仕事をさせていただくことができました。入社からの3年半でユーザー数は0から400万まで増え、社員数も10から80人くらいまで増えるなど、スタートアップ企業の「スケール」を文字通り眼前で見ることができ、エキサイティングな毎日でした。
仕事内容も非常に充実していて本当に全く不満はなかったのですが、サービスが成長するにつれ、「0→1を自分でやりたい」「自分のアイディアでサービスを作り、しっかり収益化させてみたい」という思いが強くなってきました。
新卒で入ってから3年半後の2015年12月、何をやるかは決まっていなかったのですが、「そろそろかな」と思い立って、エウレカを退職しました。
仕事せずボーッとしていた(2016/1)
会社員として貯金していたお金があったので、「しばらくは受託案件を受けたりせず、何をやるかじっくり考えよう」と考えていました。
いったんフリーランスとして生活費を稼ぎつつ、余った時間で自分のサービスの開発を行う、というパターンも非常に多いと思いますが、僕は2つのことを同時に考えられるタイプではなかったので、受託開発などは一切せず、じっくり考える時間を取りました。
Twitter 関連サービスをやることにする(2016/2 頃)
ウェブサービスは集客が一番大変だと思っていたので、第一弾のサービスは、もともとうまく行っていた whotwi からうまく送客できるTwitter 関連のサービスにしようと考えていました。
whotwi にはフォロー関係を分析して片思い・片思われなどを表示する機能があり、結構使われていました。他のサイトもいくつかあったのですが、どれも個人開発のものばかりで、whotwi も含めて信頼して使えて、高機能のものはありませんでした。そこで、信頼して使えるフォロー管理ツールを目指し新ツールを開発し始めました。
SocialDog リリース (2016/6)
開発開始から 3 カ月後の 2016 年 6 月、最低限の機能ができたので、テンプレのLPで適当にLPを作って、今の SocialDog の前身である Cheetah (チーター)をリリースしました。
初期は whotwi にバナーやリンクを貼ることで月間2000-3000件くらいの新規登録がありました。やはり広告費のかからない集客ルートがあると強い!最初にある程度ユーザー数が集まらないとやる気でないので、初期に数千件のユーザー登録があったのはモチベーション維持のために非常に役立ちました。
1期目 (2016/7 - 2017/3)
会社設立の登記 (2016/7)
2016年7月、以前から知り合いだった VC(ベンチャーキャピタル)の方にサービスの相談に行ったところ、ありがたいことに投資していただけるとおっしゃっていただけたため、とりあえず会社を登記しました。このとき初めて、出資には株式会社が必要ということを知りましたw
通常起業して出資を受ける場合は、事業計画を作ったり仲間を集めたりして計画を練って資料にし、VC やエンジェルの方に相談にいくのが一般的だと思いますが、すでにプロダクトがあったおかげで、そういったプロセスは踏まずに済みました。
会社の登記はめっちゃ簡単
テンプレ通りに書類を作成し、公証役場、法務局に行って登記をして、2週間くらいで会社ができました。あっという間でした。会社を作るの簡単なんですね。一人でやっていたので、「会社感」はあまりなかったのですが、登記簿謄本(履歴事項全部証明書。会社の住民票にあたる証明書)に、「代表取締役」として自分の名前が記載されているのを見たときは、「会社できたんだ」とちょっとだけ実感しました。
法務局以外にも税務署、都税事務所などにも書類を出す必要があっていろんな役所を回ったのですが、今は東京開業ワンストップセンターというのがあり、1箇所でできるみたいです。めっちゃ便利。
このとき「いちばんわかりやすい 会社のつくり方がよくわかる本」というタイトルまんまの本を買いましたが、今思えば本を買わなくてもググれば十分でしたw
印鑑の法人設立 3 点セットは不要かも?
これと並行して会社印を作りました。登記するために代表印は必須です。代表印と銀行印、角印の3つが法人設立セットとして売られているので、この3つセットを作りました。会社設立から4年立ちましたが、紙の請求書を出すことがなく、角印を押す機会は一度もありませんでした(笑)。うちの場合代表印と銀行印だけで十分でした。
ゴム印は買ったほうがいい
どちらかというと、銀行印や角印よりも、会社の住所・会社名・代表者名・電話番号がセットになっているゴム印のほうがあると便利です。役所に出す書類には住所・会社名・代表者名の欄に罫線がなくて、ゴム印を押せるようになっています。ゴム印は2,000円くらいで作れるので、最初に作るのをおすすめします。
売上月数万円が続く日々 (2016/7 - 2016/12)
とりあえずリリースした Cheetah でしたが、ユーザー数こそ whotwi からの流入があったので1ヶ月目から数千ユーザーいましたが、有料課金させるのは難しく、半年くらい月の売上は数万円という月が続きました。
ただこのときは従業員もおらず、自分の給与も0円にしていたためバーンレートを心配することもなく、とにかく改善を続けました。
貯金があったおかげでお金の心配をせず、「大好きなサービス開発に没頭できるなんて幸せ!!」と思って、サービス開発に没頭できました。
最初に融資を受けていたり、貯金がなかったりすると、売上が立つまでは精神的にかなりしんどそうだなと思います。本当に貯金があってよかった・・・!
はじめての採用 (2017/1)
初期の不具合がなくなり、安定しだした頃、せっかく出資いただいたこともあり出資いただいたお金で仲間を探そうと思い、Wantedly の無料プランで仲間探しをはじめました。20人くらいの方とお会いすることができました。
その中で一人すごく意気投合する人を見つかり、AutoScale に入ってくれることになりました。仲間が増えるのはめちゃくちゃ嬉しかったです。 起業の本を読むと、「2人目のメンバーは重要、知り合いや古巣の会社の人がベスト」などと書いてあることがありますが、個人的にはそうとは限らないなと思います。
たくさんの方とお会いするのは、最初はかなり苦手意識がありましたが、このときたくさんの方とお会いする機会があったおかげで苦手意識は全くなくなりました。こういうのはやはり場数を踏むのは大事だなと思います。
インターン採用も開始 (2017/1)
古巣であるエウレカでは、2014年頃まで、学生インターンを多く採用し、インターンからそのまま新卒採用していました。僕も学生インターンから新卒でエウレカに入社しました。学生のうちに働いていた会社にそのまま入社すると、働く側の「入ってみたらイメージと違った」という問題、雇う側の「こいつ意外とできないぞ」という問題が起きないので、インターンに任せられる仕事がある場合は、非常に良い戦略だなと思います。
そこでこの戦略をそのまま利用させてもらい、Wantedly で学生インターン(エンジニア)を募集し、1年目は6人採用することができました。 みんなすごく優秀で、大学4年生、大学院修士2年生はみなリクルート、ヤフー、ソフトバンクといった大手企業内定を持っていました。「大手企業に内定があるので、学生のうちに小さいスタートアップを経験しておくか」と思ってもらえることがあるので、スタートアップとの相性は良いです。
はじめてのオフィス (2017/1)
その時結婚が決まっていたこともあり、仕事空間と生活空間を分けたいと思っていたので、オフィスを借りることにしました。「家賃 10 万円くらい」「新宿〜代々木あたり」「できればデザイナーズ」「事務所利用OK」の部屋という条件で探すと、実はそんなに多くありません。
R-STORE や goodroom などのサイトをたくさん見て、3 つの物件に内見に行き、参宮橋駅近くの新築デザイナーズマンションに決めることができました。
ここはコンクリート打ちっぱなしの壁と柱などのない完全に長方形の部屋、入り口部分にコンクリートの床の土間があり、オフィス利用に最適な間取りに思えました。
最初のオフィス
ちなみにこの頃は、「起業はほぼ失敗する、失敗したときに笑われたくない」という思いがどこかにあったため、会社を作ったことに関して発信していませんでした。なので新しいオフィスを借りたときも、ツイートしたりせずに、人知れず業務開始しました。
ひたすら開発 (2017/1)
顧客からの要望などから必要そうな機能をたくさんリストアップし、とにかくスピード重視でガンガンリリースしていきました。
はじめての決算(1期目) (2017/3)
AutoScale は3月決算月なので2017年3月に 1 期目が終わり、決算になりました。赤字でしたが、「本格始動してからまだ 3 カ月だしな」と思って、ほとんど無視しました。
私は広告収入があるため、新卒のときからずっと確定申告していたこともあり、国税庁のサイトを見ながら書類を作る作業にはそんなにアレルギーはないし、「自分でやるか」とも思ったのですが、すでに起業している友人から「法人税の申告書の量は個人の確定申告の比じゃない。税理士さんにお願いしたほうがいい」という話を聞き、知り合いの紹介でスタートアップに定評のある会計事務所さんにお願いしました。
さすがプロにおまかせすると、安心感が全然違いました。めっちゃ楽・・・!まだそんなに分量もなかったですが、1年目からお願いして本当によかったと思います。
このときのメンバーは、自分を含めエンジニア2名、ライター1名でした。
2期目(2017/4 - 2018/3)
役員報酬をもらい始める (2017/4)
創業から無給でやっていたのですが無給のままだと賃貸住宅の審査に落ちて借りられなかったりといった不都合が生じるため、4 月*3から役員報酬をもらいはじめることにしました。
サービス名の変更 (2017/6)
それまで「Cheetah」というサービス名でやってきていたのですが、 以下のような声を多く聞くようになりました。
- なんて読むの?
- スペルが書けない
- Cheater (詐欺師、ズルをする人のこと)ってこと?(スペルが違う)
- 名前を聞いてもなんのサービスかわからない
そこで、「Social」「Manager」など関係のありそうな単語を書き出して、組み合わせをたくさん試して、以下のようなポイントを満たしつつ一番しっくりきた「SocialDog」に名前を変更しました。
- 一般名詞の組み合わせで意味がわかる
- 発音しやすく、スペルが書きやすい
- 既存のサービスとかぶらない(例えば、
SocialCat
SocialFox
などはすでに存在していました!)
日本語にすると「社会の犬」となってしまってアレなんですが、それは言わないお約束です。
単月黒字の達成 (2017/10)
リリースから1年3ヶ月後の2017年10月、たった数万円ですが、単月黒字を達成することができました。 当時は広告も出していなかったですし、サーバー代もほとんどかかっていなかったので、(コスト) = (人件費)+(家賃) という感じでした。
たった数万円でも黒字になっているということは、「会社の銀行口座の残高が減らない!」ということで、心の平穏レベルがかなりアップしました。 単月黒字を達成するまでは、「とにかく単月黒字にしたい」という思いが心のどこかにあり、精神的なゆとりがなかった気がします。
このときまでは「この事業うまくいくかなあ」という思いがありましたが、このときやっと「事業として続けていける」と心から思えるようになってきました。
2期目、はじめての黒字決算 (2018/3)
2期目はオフィスも借りて、開発を本格始動したのですが、ずーっと開発をしていて、何があったかよく覚えていませんw
2期目ははじめて黒字決算となりました。
黒字になってからインターンなども採用を進め、このときのメンバー内訳は、エンジニア5名、デザイナー1名、マーケティング1名(※業務委託、アルバイト等含みます。以後同じ)となり、少しずつメンバーも増えてきました。
3期目(2018/4 - 2019/3)
メインエンジニアの退職 (2018/4)
2017年1月から一緒に開発してくれていたエンジニアが「自分で事業がやりたい」ということで、退職することになりました。
それまで採用した人がやめるということがなかったので、(もちろん決してそんなことはないのですが)裏切られたような感じがして、最初は結構ショックでした。冷静に考えると、エンジニアは転職も多い職種だし、黒字といっても数十万円だし、ワンルームマンションがオフィスの先の見えない零細起業で働き続けることに見切りをつけたとしても全然不思議じゃないなと思います。
当時インターンのエンジニアも数名いたので、開発を続けつつ、Wantedlyに課金して「社員第二号Wantedly!」みたいな募集を出して採用活動を開始しました。
ちなみに彼はやめた後起業して、今でもたまに起業仲間として飲む仲になりました。
エンジニア社員2人目の入社 (2018/10)
Wantedly でウマの合いそうなエンジニアを発見し、1回会っただけで「ぜひ一緒に働きたい」と思ったので、2人目のエンジニア社員になってもらうことにしました。
はじめてのアクセラレータープログラムへの参加 (2018/10 - 2018/12)
事業や会社運営について気軽に相談できる人がいなかったこともあり、「AI.Accelerator」というアクセラレータープログラムに応募したところ、採択されました。
AIアクセラレーターでは、2週間に1回メンターさんと事業について相談できる時間をとってもらえて、客観的な意見が聞けて非常に心強かったです。
オフィスの問題が顕在化 (-2018/12)
最初は人数も少なく(自分のみ or 2-3名)、ワンルームマンションも快適だったのですが、2018年12月頃になると、社員は変わらず2名でしたが、インターンも増えて8名くらい?、以下のような問題から移転したくなってきました。
トイレ問題
一番の問題はトイレでした。ワンルームマンションで、トイレと仕事スペースの間の扉が一枚しかなく、音が非常に不快でした。
当時、スピーカーで音楽を流したりと工夫してみたのですが、根本解決にはなりませんでした。
さらに男女別トイレではないので、女性を採用できない、という問題もありました。
今から起業してワンルームマンションをオフィスとして借りる人に一番言いたいことは、「執務エリアとトイレの間には、扉は2枚以上挟んでいるところにしろ!」ということです。
周辺に飲食店がない問題
そのマンションは完全に住宅街の中にあり、周辺には飲食店はおろか、コンビニすらありませんでした。最寄りのコンビニが徒歩5分、最寄り駅の初台駅までは徒歩10分くらいかかります。
創業以来、定期的に全員と面談をしているのですが、オフィスにしていた部屋は他の人がいて話しにくいので、その都度カフェに移動して話したりしていました。そのたびに往復徒歩20分かけて移動するのは結構億劫でした。
また最初のうちはランチにも行っていましたが、移動が面倒で次第に行かなくなっていました。
オフィス移転(2018/12)
そこで、以下のような条件でオフィスを探したところ、西新宿にいいビルが見つかったのでそのまま入居することにしました。
- 男女別トイレ&トイレ共用部
- 執務スペースとトイレの間に扉2枚以上
- 40平米以上
- 学生インターンが多いので、山手線の駅からアクセスできること
- 周辺に飲食店が多いこと
ちなみに西新宿あたりで30-40平米くらいで事務所物件を探すと、トイレは専用部内の執務エリアに面していて、男女別ではない物件が多いです。なのでこの条件でかなり物件が絞られました。
懸念ポイントだったトイレが執務スペースから消え、いつでもウォシュレットを使えるようになりました(最高)。
2回目の資金調達(2019/1)
AI.Acceleratorで知り合った、Reality Acceleratorの郡さんから出資の打診をいただきました。
とてもありがたかったのですが、当時黒字だったし、今後広告費をガッツリ使っていく計画もなかったので最初は断ってしまいました。
しかしよくよく考えると、株を持ってもらうことで本気で相談に乗ってもらえるなと気付き、出資を受け入れることにしました。このときに3000万円を調達しました。
SocialDog のアカウント数が10万を突破しました!!
— koni | SocialDog🐶 (@koni) 2019年2月6日
資金調達も行い、今後はさらに機能開発、海外展開などを加速していきます!!https://t.co/EQ2uRJFQuk
この後郡さんには、毎週メンタリングをしていただくことになり、相談相手が増えてすごく心強かったです。
ちなみにこのとき、「起業のファイナンス」というスタートアップが出資を受けるときのバイブル的な本を読んで、2回目の資金調達にして初めて資本政策について勉強しましたw
3期目決算(2019/3)
引き続き、増収増益を達成しました。 売上は月単位で追っていて、年単位である決算の数字はほとんど見ていないので、よく覚えていませんw
このときのメンバーは、少し増えて、エンジニア6名、デザイナー1名、マーケティング2名でした。
4期目(2019/4 - 2020/3)
オフィス移転先検討 (2020/1 -)
西新宿のオフィスに移転してから、売上が順調に増え、社員・アルバイト込みで15名くらいと人数も増えてきたので、40平米のオフィスでは手狭になってきました。 このため、オフィスの移転先を探し始め、恵比寿で80平米のとても日当たりの良くてきれいなオフィスを発見しました。 「オフィスは採用にも効く」「スタートアップだしおしゃれなオフィスにしたい」と思い、家賃が月80万円、坪単価が約3万円(西新宿のオフィスに比べると、坪単価が2倍、家賃が約4倍!)とそれまでよりもオフィスにお金を使う計画でした。 初期費用、保証金6カ月、内装工事、引っ越し費用で1000-1300万円くらいかかる計算でした。
オフィスの内装工事事例のサイトをいっぱい見て、夢が膨らんでいた2カ月でした。
審査も無事に通り、3月初旬には「あとは契約書に調印するだけ」の段階までいきました。
コロナで白紙に
1月頃からコロナ対策ということで、「オフィスへの出社は奨励しない」という方針にしており、その頃にはもう「数カ月とかではコロナが収束しなさそう」ということがわかってきていました。そう考えると、「余計な仕事・お金がかかる割に、このままオフィスを借りてもどうせ使わないのでは?」という判断をし、不動産屋さんや大家さんに謝って契約は白紙にさせていただきました。
個人的に物件を探すのは好きなので結構楽しみだったのですが、完全オフィスレス企業となって、全員が在宅勤務をする今となってはオフィス契約しなくて本当によかったなと思います。
AutoScale では、新型コロナウイルスの感染拡大に備えて、今週一週間を「在宅勤務推奨ウイーク」にすることにしました。
— koni | SocialDog🐶 (@koni) 2020年1月26日
・中国の春節休みが 1/24 - 30 まで
・潜伏期間が14日間あり、その間にも感染するとの情報あり
・状況によっては延長するかも
4期目決算(2020/3)
4期目は、大きく増収増益となりました。それにあわせて、メンバー数も大幅に増えました。10名→18名に。
このときのメンバーは、エンジニア13名、デザイナー1名、マーケティング2名。
初の決算賞与支給(2020/3)
これまでボーナスは支給していなかったのですが、4期目の決算が非常に良かった分を社員に還元するため、また給与水準を上げていくため、決算賞与(ボーナス)を支給しました。「業績連動なので支給されない場合があるが、1カ月分を年間2回支給を目指す」という旨を周知しました。
5期目(2020/4 - 2021/3)
新卒社員入社(2020/4)
学生時代にインターンをしてくれていた2名のエンジニアが、新卒で社員として入社しました。
「スタートアップだから基本的なビジネスマナーも知らないぞ」と言われたら悔しいので、リモートで新卒社員研修を実施しました。リモートでの名刺交換の練習は無理でしたw
今年はAutoScale 初となる新卒の新入社員が2名入ったので、Zoom でビジネスマナー研修を実施しました。
— koni | SocialDog🐶 (@koni) 2020年4月16日
Zoom で名刺交換練習やったら、立ち上がった瞬間お互いの顔見えなくなって、正しくできているのかもよくわからないし、めっちゃ面白かったw
在宅勤務を標準へ(2020/4)
3月前半頃まではまだ週2-3回はオフィスに出社していましたが、3月中旬頃、いよいよ在宅勤務を標準に切り替えました。
在宅勤務の環境整備のため、社員・アルバイトに一律5万円を支給しました。これまでそういう金銭を支給するタイプの施策はやっていなかったのですが、初めて実施してみました。
コロナによる在宅勤務、いきなりはじめたものの、
— koni | SocialDog🐶 (@koni) 2020年3月19日
・家にローテーブル・こたつしかなくツライ
・家にサブディスプレイがない
などの問題があり、効率落ちていそうだったので、AutoScale では在宅勤務用のモニターやキーボードの購入費用の80%を支給することにしました(上限5万円)。#AutoScale
初の完全オンライン採用(2020/5)
2020年5月には、ついにオンライン面談だけで、一度も直接会わずにエンジニアを1名採用しました。
リモートワークの名著「リモートワークの達人」には「リモートワークでも、採用するときは直接会え」と書いてありましたが、個人的には、どうせ完全在宅勤務で、業務は全部オンラインなわけだし、採用でも会う必要ないなと思います。働き始めてから直接会う機会がない状況では、「会ってみないとわからないこと」を知る必要がないからです。
オフィス解約、オフィスレス企業に (2020/9)
オフィスの更新が2020年12月に迫っていました。更新すると更新料をとられてしまいます。 解約予告期間が3カ月だったので、9月には解約する必要がありました。
オフィスはもうほとんど使っていなかったし、在宅勤務を半年やってみて自分自身もオフィスに行くの無駄だな思い始めていました。そこで、オフィスの解約を決定、オフィスレス企業になりました。
ちょっとウケを狙って、以下のようなリリースを会社サイトに載せました。
AutoScale 代表 小西のコメント「いままで賃料を払ってオフィスを借りてたのなんだったんだろうという気持ちです。」
AutoScale はオフィスを閉鎖して、オフィスレス企業になります🎉🎉🎉https://t.co/zQT3Dx7l2x
— koni | SocialDog🐶 (@koni) 2020年10月1日
「オフィスレス、完全在宅勤務」というのは採用にも効きそうだなと思ってポジティブにとらえています。
半年前まで賃料4倍のオフィスを借りようとしていたのに真逆の意思決定をするとは。
バーチャルオフィス契約(2020/10)
オフィスを解約したとはいえ、郵便物の受け取りや登記のための住所が必要です。
自宅を会社住所としていろんなところに掲載するのは嫌だったので、バーチャルオフィスを借りて、郵便物は転送してもらうことにしました。
バーチャルオフィスを世界中で展開しているサーブコープの有明フロンティアビルにしました。月1万円強で、住所が使えて、郵便物を転送してくれます。バーチャルオフィスは安いところだと月額3000円とかでもあるのですが、振り込め詐欺で使われていたりして微妙かなと思い、少しだけ高めのところにしました。
何よりビルがかっこいい!一回しか行ったことはないですw
2020年10月、AutoScale はこのビルに移転しました!
— koni | SocialDog🐶 (@koni) 2020年10月1日
(バーチャルオフィス)
ちなみに選定理由は・・・
・「有明フロンティアビル」というカッコいいビル名
・カッコいい外観
・レンタルオフィスで有名なサーブコープの安心感 pic.twitter.com/Oo3BOMzerV
まあうちの場合、紙で請求書を郵送してくるのはオフィスの大家さんだけだったので、基本もう外部から郵便物はこないんですけどね!
Cool SaaS 手当 (2020/12)
オフィス解約で毎月20-25万円くらいのお金が浮いたので、それを原資に「Cool SaaS 手当」を開始しました。
「イケてるSaaS」を作るために必要な費用として社員一人あたり毎月1万円を支給するものです。 単に給与として支給するより、目的を持った金額を支給するほうが良いんじゃないかと思って始めてみました。
「イケてるSaaSを作るなら、イケてるSaaSを使って」というのが、メッセージ性がわかりやすくて気に入ってます。まあ名前はちょっと言いにくいけどw
イケてるSaaSを作るなら、まずはイケてるSaaSを使うべきだなということで、費用を気にせずSaaSを使ってもらえるよう「SaaS 手当」(10,000円/月)を支給することにしました🎉
— koni | SocialDog🐶 (@koni) 2020年12月4日
オフィスレスにして浮いたお金が原資✌ pic.twitter.com/mVCdtvWqxI
いまのチーム(2020/12)
今のメンバーは、エンジニア14名、デザイナー2名、マーケティング5名。
この2年でかなり人数が増えました!関わる人が増えて単純に嬉しい。
FAQ
どうやって採用したの?
AutoScale では圧倒的に Wantedly との相性が良かったです
AutoScale でよかった媒体は、創業当初から今まで圧倒的にWantedlyです。
Wanteldy からは、これまでに延べ1700人以上の方からエントリーいただき、累計20名(うち社員5名)の採用につながっています。採用課金ではなく掲載課金(月3.5万円)なので、Wantedly はあまりお金もかからず相性の良い人と巡り合えて最高です。いつもありがとうございます。
Wantedlyは、転職先としてスタートアップが候補に入っている人が一番見ていると思われます。
Wanteldyでの採用を頑張っている時期は、タイトルと写真を変えて、毎週募集を出すことが大事です。明らかに露出が増えます。 ちなみにブログ的な機能(ストーリー)は、いっとき投稿したりしましたが、あまりエントリー数と相関はないようなので、がんばる必要はありません。
エンジニア向け採用課題
スキルと入社意思の確認のため、合いそうだなと思った方には、課題をお願いしています。 大体10時間くらいの分量です。イケてると思う人は1週間くらいで出してもらえることが多く、課題を見ると安心して採用できます。
パートタイムの求人にはしゅふJOBがオススメ
フルタイムではないが、できるだけ長く働いてほしい職種については、しゅふJOBを利用しました。名前の通りしゅふの方が多く登録しています。課金形態は採用課金・掲載課金を選べます。うちでは採用課金を選択しています。在宅勤務の募集は少ないこともあり、2週間ほどで約80名の方から応募をいただき、1名採用できました。
メンタルヘルスは大丈夫だった?
会社をやめてから(特に最初一人でやっていたときは)自分のメンタルヘルスに不調がないように、以下のようなところに気をつかっています。
- お金のこと
- 貯金がある状態で起業
- 借金をしない(融資を受けない)
- できるだけ早く単月黒字達成する(毎月銀行口座の残高が減っていくストレス)
- 生活習慣
- 睡眠をたっぷり取る(毎日8時間睡眠)
- たまに運動する(自転車通勤したり、ジムにいったりする)
- 仕事しすぎない(平日21時以降や休日には、ほとんど仕事していません。趣味の開発はしていますがw)
- 健康診断を毎年ちゃんと受ける(たまに人間ドックも受けています)
「起業している人はそうでない人と比べて自殺する可能性が●倍」みたいな話も聞きますし、気をつけたほうが良いと思います。いまのところ、自分のメンタルヘルスが不調になったことはありません。
メンタルヘルス不調への対策という意味では、一緒に楽しく暮らしてくれている妻によるところも大きいです。
まとめ
以上、4年半を淡々と振り返ってみました。
サービスに致命的なバグがあるとか、メンタルヘルスが不調になるとか、メンバーに裏切られて横領されるとか、大きなトラブルに見舞われることもなく、おおむね順調に来たと言えると思います。
よく「起業は大変だからやめとけ」とか聞きますが、「言うほど大変ではないかな」と思いますw
そんなわけで、今後も頑張ってイケてるSaaS にするべく邁進していく所存ですので、なにとぞよろしくお願いします!
この記事は、14000文字オーバーの長文になってしまったので、今後はこういうことにならないよう、こまめにブログを書いていきたいですw
採用活動しております!
AutoScale では、一緒にSocialDogをイケてるSaaSにしてくれる方を探しています。 お気軽にご連絡ください。
こちらの記事もどうぞ
*1:ほぼメンテしていませんが、今でも月間1000万PVくらいあります
*2:2020年8月にサービス終了してしまいました。寂しい。
*3: 4 月からにしたのは代表取締役などの役員はがもらう役員報酬の額は期首 3カ月しか変えられないというルールがあるためです。